自分がワクワクする農業を。
まだ見ぬ、唐辛子の世界
吉岡香辛料研究所 吉岡さん
広島県・庄原市東城町で唐辛子を育てる吉岡さん。机の上の真っ赤なチラシが強烈なインパクトを与えてくる。バラエティーでしか見ない唐辛子の名前がちらついて、日本に育てている農家がいたのかと驚かさせる。果たしてこの研究所から生きて帰ってこれるのだろうか・・・
自分がワクワクする農業を
「試しに育てたハバネロを食べさせたらリアクションが面白くて!」そう楽しそうに語る吉岡さん。病院の人事や、製造業を経て「どうせなら好きなことをやりたい」と思い立ち農業を始めたのだそう。目を付けた食材はザーサイやニンニクなど保存が効き、日本の自給率が低いもの。中でも唐辛子は2%ほどと極端に低い上に単価も安く、周りからは「唐辛子を育てるなんて頭がおかしいんか」と揶揄されることもあったのだとか。
唐辛子に虜なワケ
十数種類の唐辛子を育てる吉岡さん、意外にも元々辛いものは苦手だったといいます。「カレーも小さい頃からずっと甘口で。ただある日、つけ麺の辛さの倍率をあげるチャレンジをした時に案外いけることに気づきまして!」そこから唐辛子の虜になった吉岡さんは、現在は飲食店向けに数種類をブレンドしたり、広島県のゆず農家と柚子胡椒を共同開発したりと活動は多岐にわたります。唐辛子は辛さのレベルだけでなく、風味や香りがそれぞれ違って、激辛の先にそれが見える「ランナーズハイ」があるのだとか笑
激辛以外の顔に迫る
「山って何の化学肥料も与えてないのに、同じ場所から山菜とか生えますよね」言われてみれば確かにそうで、吉岡さんも落ち葉を集めて畑の養分にしているそう。初めは正月休みそっちのけでかき集めていたが、そのおかげもあり10年連続で同じ畑で唐辛子が収穫できているといいます。最近では獣害対策で唐辛子入りのスプレーの開発も考えているそう。吉岡さんの手によって激辛だけでない新たな可能性が開いていくのを感じます。
苗の名札を見てDBって何ですかと聞くと「ドラゴンブレス」という品種だそう。真っ赤な実を想像しただけで汗が出ますが、唐辛子をきっかけに悶えながらも楽しんでもらいたい、そんな吉岡さんの純粋な想いを感じた取材となりました。