私の好きな茶畑を残したい。
地域に自分の手で仕事を作る

Teto teto 延原さん

広島県・三次市上田町で茶の栽培から商品開発までを行う延原さん。三次に根付くお茶の美味しさはもちろん、日本人として「茶」の文化が生み出し、残してきたものを考えさせられる取材となりました。

お茶の商品から伝えたいこと

「里山の暮らしの中に茶畑があるこの景色が好きで移住してきました」山の斜面に青々と新芽が茂る茶畑。そんな日本らしい茶畑を商品を通して知って欲しいという想いから、Tetotetoという会社を立ち上げ、三次市の伝統茶である「はぶ草茶」や「ほうじ茶シロップ」を開発してきたそう。「牛乳を入れてラテにするとすごく美味しくて、試作品でほうじ茶レモンシロップも作りました!」取材時にも試作品のサイダー割をいただいて、ほうじ茶の香りも相まって、夏場など暑いときに欲しくなる1杯でした。

目の前に茶畑に自分ができること

三次市で唯一の茶畑と併設している加工場では、ご高齢でこってり広島弁が可愛いご夫婦との会話で盛り上がりました。「この茶箱はずっと昔から使ってるね」とお母さん。「このご夫婦の人柄が本当に大好きで、お茶を作る技術も守るべきだと思っています」ご夫婦と延原さんの温かい会話にも、普段から会話を重ねてきた信頼関係を感じます。「ご夫婦だけでは収穫量も限られるので、今年から私も栽培を手伝うようになったんです。お茶の世界は本当に奥が深くて毎日が勉強ですね」

この場所から新たな可能性を

加工場の外に出ると、ほうじ茶を抽出した後に出る茶殻が。「この茶殻が香りや消臭効果もあるのに捨てるのがもったいなくて。商品開発を手伝ってくださる人を探しています」実はこの加工場は廃校になった小学校の給食室なのだそう。「この『ほしはら山のがっこう』は今は教室を宿泊施設や、子供向けの自然体験の拠点として活用されているんです」日本の原風景を守ってきたご夫婦や、茶摘みに触れながら、新たなお茶の可能性を模索してみるのも、日本人として深い価値のある経験になるかもしれません。

日本人が各地で残してきた「茶」という文化。地域内で栽培から開発、販売まで仕事を作ることが大事だと語る延原さん。ご高齢で担い手が少なくなる中、今できることから始めていくのだという気概を感じた取材でした。