柿への誇りを伝承する
日本の原風景に出会う

尾道柿園 宗さん

広島県・尾道市御調町(みつぎ)で柿を育てる宗さん。車で山道を登った先に現れた尾道柿園はアトリエを思わせる内装で。何も知らない私は、柿とは関係ないものも多いなと錯覚しましたが、その認識はすぐに覆されるのでした。

柿への誇りにあふれた空間

「柿の使い方の広さは唯一無二なんです。渋柿を干せば食用の干し柿に、未熟な青柿を発酵させて2年寝かせると柿渋という染料や塗料に、完熟した柿を発酵させれば柿酢になる」服やカバンなど店内に並ぶ柿染め商品を見渡し、確かにこんな果物は他にないと驚かされます。そしてなんと机や天井も柿渋で茶色く染めているという。柿愛に包まれた空間で聞く、宗さんのお話は贅沢極まりないです。

吊るし柿を求めて

柿干しのシーズンは10~12月。「柿を高枝ハサミで収穫して、まずピーラーで皮をむく。それを20個ぐらい紐に吊るして、庭先の柵に引っかけるんです」その紐一本でなんと10kg!上に持ち上げるだけでも軽い筋トレです。ただ、尾道柿園がある山の頂上から見る景色はまさに格別。眼下には雲海が広がり、自転車で上まで登ってくる猛者もいるのだそう。

日本の原風景と行く末

「昔はみんな庭先で柿を作ってたけど、最近は放置だけされて獣のエサになっている」切りたくても他人の家に踏み入るわけにはいかず、宗さんは頭を悩ませているといいます。NHKの「日本の里山」という番組では巨木の撮影依頼があったそうで、日本の原風景を生み出すその土地にも光と影があることを知りました。尾道柿園ではそんな柿文化に触れるべく、柿渋染め体験を行っており、柿を使ったピザも食べられて記憶に残ること間違いなしです。

宗さんをご紹介いただいた、尾道市の地域起こし協力隊の方は尾道柿園に後継ぎとして入るのだそう。柿という日本古来に根付く文化を繋いでいく、そこには1農園の継承だけではない大きな意味があるのではないかと感じました。収穫のピーク時には、ピーラーの皮むきや、柿の吊るしなどボランティアや体験も受け付けているとのことです!

尾道柿園

募集形態 ワークショップ / ボランティア
募集時期 通年 / 10月~12月 
募集日程 1日から参加可能
作業時間帯 応相談
作業内容 柿渋染め体験 / 柿の収穫・吊るし など
場所 広島県尾道市御調町菅2030
備考 経験者優遇・初心者も歓迎